目の前に真っ白な雲が広がる
僕は、翼で目の前の雲を掻っ切りながら
ふと雲に食われていく様な夢に襲われる

その時、暗転するかの如く、一瞬の瞬きの間に
三度撃ち抜く。

機影は、もう見えない。

僕の翼は、雲を喰らいつつも前へ進む。

音が聞こえる。消し忘れたラジオだろうか
それとも、僕の心臓の鼓動だろうか

ふと気づくと目の前のシグナルランプが点灯している
誰かからの交信だろうか、こんな僕にも訴え掛けられる
事が在ったのだろうか

暗転、雲の中を通り過ぎると、直ぐ傍に君がいた。
多分、交信の相手だろう。

シグナルは、グリーン。取り合えずは慌しくは為らない様だ。

『君は誰だい?』

スピーカーから、落ち着いた抑揚の無い言葉が発せられる。

僕は、答える。『多分、渡り鳥さ』